2024年もよろしく・法令関係の更新

 長らく更新の滞ってしまっていたサイトでしたが、どうぞ今年もよろしくお願いします。今年も気まぐれで更新していきます。この冬も昨年ほどではないですが暖冬となりそうな気配ですね。雪かきをしたのも今のところ2回ほどにとどまっています。

 さて、年末年始に「ダウンロード」内の法令関係のファイルの更新を行いましたので、お知らせします(ダウンロードページはこちら)。今回更新したのは7ファイルです。

・民法-条文沿革

 令和3年10月1日公布済みの内容から、令和5年10月1日公布済みの内容へ、更新しました。この期間に公布された改正法は3本。

  • 令和4年法律第48号「民事訴訟法等の一部を改正する法律」
    ・・・民事訴訟法改正に伴う小さな改正。
  • 令和4年法律第102号「民法等の一部を改正する法律」
    ・・・第4編親族における改正。これまで女性のみにあった再婚禁止期間(100日)の廃止、嫡出の推定・嫡出の否認に関する規定の改正。また、旧822条の「教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」としていた懲戒権の条文を削除し、旧821条を新822条とし、新821条に子の人格の尊重及び体罰禁止に関する条文を追加。
  • 令和5年法律第53号「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」
    ・・・民事訴訟法改正及び公証人法の改正に伴う改正。公正証書遺言に関する規定などが改正されています。

・刑法-条文沿革

 令和2年1月1日公布済みの内容から、令和5年10月1日公布済みの内容へ、更新しました。この期間に公布された改正法は3本。

  • 令和4年法律第67号「刑法等の一部を改正する法律」
    ・・・昨今の情勢を踏まえ、侮辱罪の法定刑を「拘留又は科料」から「一年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に重罰化しました。
    また、これまでの「懲役」と「禁錮」の刑を「拘禁刑」に一本化しました。「懲役」は「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる」刑であり、「禁錮」は「刑事施設に拘置する」刑(作業は本人の申し出があった場合のみ)であったが、「拘禁刑」は「刑事施設に拘置する」刑とし、「拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」こととされました。これまで「懲役」「禁錮」「懲役又は(若しくは)禁錮」とあった条文はすべて「拘禁刑」に置き換えられました(刑法以外の法律でも令和4年法律第68号で同様の改正が行われています)。現行刑法の制定(明治40年)以来、刑の種類が改正されるのは初めてのことです。侮辱罪の重罰化は令和4年7月7日に施行されましたが、拘禁刑に関する改正は令和7年6月1日に改正されます。施行後は、ニュースや新聞でおなじみの「懲役○年の判決が言い渡されました」という表現も「拘禁刑○年の判決が・・・」に変わることでしょう。
  • 令和5年法律第28号「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」
    ・・・国外にいる期間の刑の時効の停止の規定の新設など。小さな改正。
  • 令和5年法律第56号「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」
    ・・・一部改正法の附則の改正のみで、実質改正なし。
  • 令和5年法律第66号「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」
    ・・・性犯罪に関する規定の改正。強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪を統合して「不同意わいせつ罪」とし、これまで「暴行又は脅迫」あるいは「心神喪失若しくは抗拒不能」が要件とされていたところを、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」という要件に改正(拡張)されました。同様に「強制性交等罪」「準強制性交罪」も「不同意性交等罪」に統合・拡張されました。また、新182条に「十六歳未満の者に対する面会要求等」の罪が新設されました(旧182条(淫行勧誘罪)は新183条へ移動となりました(旧183条は「姦通罪」の規定で、昭和22年改正で「削除」となっていました))。

・刑法施行法-条文沿革

 平成30年7月1日公布済みの内容から、令和5年10月1日公布済みの内容へ、更新しました。この期間に公布された改正法は2本。

  • 令和3年法律第61号「国家公務員法等の一部を改正する法律」
    ・・・一部改正法の附則の改正のみで、実質改正なし。
  • 令和4年法律第68号「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」
    ・・・令和4年法律第67号で、刑法の「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されることに伴う改正。

・爆発物取締罰則(現代語訳)/爆発物取締罰則-条文沿革

 平成30年7月1日公布済みの内容から、令和5年10月1日公布済みの内容へ、更新しました。この期間に公布された改正法は1本。

  • 令和4年法律第68号「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」
    ・・・令和4年法律第67号で、刑法の「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化されることに伴う改正。

・未成年者飲酒禁止法・未成年者喫煙禁止法(現代語訳)/未成年者飲酒禁止法-条文沿革

 平成28年11月1日公布済みの内容から、令和5年10月1日公布済みの内容へ、更新しました。この期間に公布された改正法は1本。

  • 平成30年法律第59号「民法の一部を改正する法律」
    ・・・民法上の成人を20歳から18歳へ改めたことに伴い、「未成年者飲酒禁止法」「未成年者喫煙禁止法」の題名を「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」に改めました。民法上の成人は18歳に改められましたが、飲酒・喫煙ができるようになる年齢は20歳のまま据え置かれました。

 ということで、以上7ファイルを更新しました。私は、いちおう毎年有斐閣の『ポケット六法』は買って読むようにしているんですが、知らないうちに重要改正が行われていることもけっこうありますね(私があまりニュースを見ないからですが)。

 今年は去年よりはたくさん更新できたらなあとは思っています。まあどうなるか分かりません。よろしくお願いします。

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