一般県道・最上小野田線を走破。【後編】
山形県道・宮城県道262号最上小野田線を走破する企画の続き。【前編】はこちら。【中編】はこちら。
後編は、いよいよ宮城県に入ったところからスタート。ちなみにこの時点でまだ午前10時前であった。
ここからは県道ではなく林道だ、という情報はネットなどから得ていたが、道路には素性に関わるものはない。山形県側にはあんなに「一般県道」とか「山形県」とか書いてある看板がいっぱいあったのに、宮城県側に何もないということは、「何もないことから察してね・・・」ということなのか。
・・・と思っていたら、そこから1分もしないうちに、道路の左側に巨大な銀色の看板と、小さな林道標識が現れた。
銀色の看板からは何も情報が得られないのでとりあえず置いておくとして、もう一つの「田代林道 起点」という標識が問題だ。というのも、設置されている向きが明らかに横向きなのである(3枚前の写真を参照)。豪雪地帯では標識がひん曲がって横を向いてしまうことはよくあることだが、見た感じはそんなにひん曲がっている感じはしない。そして、この地点から左側に分岐する林道のようなものを確認できた(ただ、獣道のようになっていて、自動車で入れる感じではなかった)。つまり、ここから先が「田代林道」なのか、ここから北へ分岐する獣道が「田代林道」なのか、現地では判断がつかなかった。ネット上では、この道(県境部から宮城県でr262が復活するまでの区間をつなぐ林道)を通称して「田代林道」と呼んでいるものが散見される。しかしながら、この標識の向きを考えると、ここから北へ分岐する道が「田代林道」ような感じがしてならない。
ちなみに、手元にあった昭文社「ツーリングマップル 東北 2018」では、林道とされている区間も含めてr262として黄色で塗っている。
そして地理院地図では、県境部からこの林道標識までのわずかな区間を「県道」の黄色で塗っていて、ここから先を無色で表示している。そしてこの林道標識がある地点には、確かに北へ分岐する道路を描いているのだ。
まあ地理院地図は国道については正確なことが多いが、県道についてはわりと怪しいので、何とも言えない。
ちなみにGoogleマップは、県境より山形県側は県道、県境から先は細い白線で表現している。Yahoo! 地図は、ツーリングマップルと同じく、全線を県道の色で塗っている。
ということで今走っている道路の素性が分からないまま、さらに先へ進む。
地図では確かにここでT字路にぶつかることになっているが、まさかこんな立派な舗装路だとは思っていなかったのでびっくり。ツーリングマップルでは、県道はここを左折になっている。そして、右折すると「ビングシ林道」につながることになっている。それこそ県道のような道にぶちあたったわけだが、左は県道である可能性があるとしても、右は県道ということはないだろう。それなのにハイスペックな道がビングシ林道に向かっていくのはどういうことだ。
疑問点はたくさんあるものの、まずはT字路を観察することにした。
通行止め看板に「加美町」と書いてあったことから、「やはりここは県道ではないようだ」とは思ったものの、やはり情報が乏しすぎる。
現地の私は、この舗装路が、県道のバイパス路線の未成線なのではないかと考えた。そこで、ここを右折して、どこまでこの舗装路が続くのか確かめることにした。すると300~400mほど進んだところで、突如舗装が終わり、通行止めとなった。そこには看板があり、「国有林専用林道」「宮城北部森林管理署長」の文字があった。ツーリングマップルにある「ビングシ林道」の入口である。舗装路は峠を目指しているというわけではなく、ビングシ林道の入口へと向かっていた。林道は未舗装1車線なのに、そこに行くためのアクセス道路が舗装2車線なのは意味が分からない。
と現地の私は思ったが、帰宅して地理院地図を調べると、ここには採石場のようなものがあるらしい。どうやらこの舗装路は、ここから土砂?(石?)を運びだすために作られた道だったようだ。
↓地理院地図。中心は舗装路にぶちあたったT字路。左上が山形県方向。下に行く道がビングシ林道。太い道の終点の南側に、不自然に四角く削り取られたような地形が描かれている。
↓地理院地図の航空写真。舗装路の終点の南側に、巨大な採石場のようなものがはっきりと見える。
ということで、ここで引き返し、先ほどのT字路も越えて、ずんずんと下っていく。やはり舗装路は走りやすい。ところどころにデリニエータもあり、どうやら「加美町」管理の道路であるようだということが分かってきた。県道の未成線ではないらしい。途中にはキャンプ場もあったが、一時閉鎖されていた(コロナ禍の影響?)。
この十字路、左折はダート1車線で、ツーリングマップルによると鳴子方面へ抜ける「築沢林道」らしい。直進もダート1車線だが、直進がツーリングマップルでは県道の黄色で塗られている道路である。右折が舗装2車線で、ツーリングマップルでは白色で塗られていて「2車線の快走路」と注釈がついている。ツーリングマップルを見ると、この「2車線の快走路」は、「二ツ石ダム」へと続いている。どうやら、この舗装2車線道路は、県境越えの県道の未成線ではなく、ダム建設のための道だったようだ。山の中の高規格道路といえば、県道(や国道)とその未成線というパターンや、大規模林道の一部というパターンのほかに、ダム建設に伴う付替道路やダム建設用道路、というパターンもけっこう多い。ちなみに、ここまでくる途中には、地図でここよりもやや北に位置する「岩堂沢ダム」(がんどうざわ-ダム)へ続く道との分岐もあった。
「二ツ石ダム」も「岩堂沢ダム」も、農林水産省の「国営基幹かんがい排水事業」による、農業用水のためのダムということである(ダムには、国交省がつくるもの、農水省がつくるもの、県がつくるもの、などいろいろある)。農林水産省が建設し、現在は宮城県が管理しているようだ。詳しくは県のサイト( 「二ツ石ダムの概要」、「岩堂沢ダムの概要」 )を参照いただきたい。
この交差点で車を降り、少々休憩した。
さらに、この交差点には鳥獣保護区区域図の看板があった。そういえば峠にも「鳥獣保護区」という赤い看板があった。その区域図には(何年前のものか分からないが・・・)地図が載っていた。それによると、ここまで走ってきた道は「林道田代線」、南下する道は「林道長沼線」となっている。
基本的に、国有林林道は「○○林道」、民有林林道は「林道○○線」という命名がなされるのだが、通称や地図での呼称はどちらも「○○林道」となってしまうことが多い。峠からすぐのところにあった変な方向を向いていた看板は「田代林道」であり、その下にあった「宮城北部森林管理署」の文字からも「田代林道」は国有林林道であることが分かる。しかし、この地図では今まで走ってきた道に「林道田代線」という名称が書いてあり、これは民有林林道である可能性が高い。
ということは、あの「田代林道」という標識があったところから北へ入る林道が国有林林道の「田代林道」で、いま走ってきた道は「林道田代線」という民有林林道なのかな、と現地では解釈した。でも、「国有林の中を民有林林道が通るってあるの?」「そもそもどのへんまで国有林なの?」「この地図って多分古いよね?どこまで信じていいの?」などなど、疑問は残る。
ちなみに、民有林林道の管理者は市町村である場合が多いが、県である場合もあるし、なんかよく分からないがそれ以外の場合もある。
とりあえずこの十字路を直進し、ツーリングマップルが黄色で塗っている道を進む。ダートだ。
そしていよいよダートの区間が終わった。ツーリングマップルでは県境からここまでずっと黄色だったが、地理院地図ではこのあたりから黄色となる。
県道最上小野田線の路線番号は262である。この小さな立て札は初めて見たが、「県道262号のゼロキロポスト的なものか!?」とちょっと興奮した。どうやらこの辺から県道が復活しているようだ。この立て札、道路の左右に立っていて、写真のものは道路の左側のものだ。写真の右側の立て札は「L」でなくて「R」になっている。LはLeft、RはRightという意味なのだろう。
さらに先へ進むと、林道だったものが徐々に県道になっていく。
ということで、県道が完全復活。結局、どこからが県道だったのか・・・やはりあの「 ー262 00-L 」の看板のあたりからなのか・・・疑問は残る。この先は、普通の2車線県道である。
例の小さな立て札は、終点までちょくちょく左右に登場した。左右でやや位置がずれているところがあったり、必ずしも間隔が1kmではなかったように感じたので、キロポストというわけではなさそうだった。除草作業などの分担の便宜のために立てているものだろうか。(答えを知っている人がいたら教えてください)なお、この後に通った宮城県道157号でも同様の立て札を発見した。宮城県(あるいは県の中のこのあたりを管轄する地方部局の)独自のものなのだろうか。
ということで、山形県道・宮城県道 最上小野田線を走破した。途中、県道でない区間もあったようだが、そのあたりの詳細はまた今度調べてみることにしようと思う。
このあとは、三本木スマートICから東北道へ、そして久々に仙台北部道路を通り、仙台東部道路へ、その後、常磐道を経由して、福島県相馬市へ。そこから東北中央道へ。
東北中央道の霊山ICにある道の駅の駐車場で休憩をとっていたら、携帯に着信が。出てみると、東京のマンションのセールス。自称20歳女性になぜか「先輩」呼びをされ、マンションを売りつけられる(もちろん買ってませんよ)。20分ほど会話を楽しみ、再び車を走らせ、福島市の飯坂温泉へ。
そして、国道399号の鳩峰峠に向かったのであった。